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ケーススタディでみる<高速試作造形機の活用術>

“つくってから考える”─設計と試作・検証の「同時並行」が、開発現場の常識を覆す!? 革新的な試作技術で、開発コスト・ダウンタイムを大幅に削減

企業・業種を問わず、製品の性能やユーザビリティは常に重要視されています。それだけに、設計・開発段階での「サンプル試作品による検証」は非常に重要です。とはいえ、製品の複雑化・微細化が進む中、より本物に近い精度でサンプル試作品を内製するには、人手やノウハウ、素材、製作環境の準備が必要なため、多くの企業では金型製作の専門会社に委託しているのが一般的です。

しかし、企業努力としての“開発コスト削減”が求められる中、試作造形に要するコスト負担は非常に大きく、さらに「設計〜試作〜再設計」の繰り返しで開発期間が長期化し、“開発リードタイム短縮”のボトルネックとなっているケースも少なくありません。

もし、外部に委託していた高精度なサンプル試作を自社内でカンタン・スピーディに造形し、外注コストと開発リードタイムを削減できるとしたら・・・?

Case.1 設計・試作のボトルネックは「非効率な外注委託」。開発コストとリードタイム大幅削減で、短納期要求に応えた方法とは? 産業機器製造業I社(設計開発部) 従業員数:200名

課題

情報通信機器から製造機器に至るまで、機器内部を構成する各種産業機器の開発・製造を行うI社。エネルギー効率や駆動精度に優れた同社の製品は、その高い技術力を買われ、国内メーカーをはじめ海外メーカーからも高い評価を受けています。その同社にとって、最優先で取り組むべき課題となっていたのが「開発コスト削減」と「開発リードタイム短縮」でした。
というのも、同社は納入先メーカーからの要望を受けて、搭載機器の内部構造に合わせたオリジナル開発・カスタマイズ等に対応していたからです。しかも、市場競争の激化を受けて、メーカーからの短納期要求は厳しさを増すばかり。

ここで問題視されたのが、“設計〜サンプル試作〜検証”の一連の工程です。高い品質レベルを実現するには、試作・検証工程がキーポイントとなってきますが、サンプル試作品の製作を外注業者に委託している限り、どうしても1週間程度の製作期間を要してしまいます。また検証の結果、何度も試作修正や設計変更を繰り返すため、全体のリードタイムは長引く一方。さらに、繰り返しの外注依頼によるコスト負担も大きなものでした。
納期遅れで取引先から信頼を失うことだけは避けねばならず、同社では設計と検証を徹夜作業で対応していましたが、もはや限界に達していました・・・。

解決

「試作・検証工程の見直しが必要だ」と感じていた設計開発部マネージャのO氏は、数多くの金型製作業者へ問い合わせますが、1〜2日縮まる程度で抜本的な解決には至りません。しかしある日、総務担当より、複合機/プリンタで取引のあるマイクロシステム担当者を紹介されます。話を聞いてみると「高速試作造形機」を活用する、という新しい解決方法に関する提案で、「外注に依頼せずに、簡単かつ高速にサンプル試作品の内製が可能ですよ」とのこと。
「実際に、『高速試作造形機』で製作されたサンプル品の数々を見せていただきましたが、数時間で自動造形したとは思えない精巧さには大変驚きました。また、内製化にあたっては専門的なノウハウや作業負荷も心配でしたが、3D-CADの設計図面を読み込むだけで、一般的なプリンタ感覚で容易に造形できてしまう点も高評価でしたね」(O氏)

検証の結果、同社は「高速試作造形機」の導入を決断。外注への委託自体がなくなった効果は大きく、「1週間を要していた1回あたりの試作工程がわずか1日に短縮」。また、コスト面においても、「毎月200万円以上かかっていた試作コストが、60万円以下まで削減」することができました。
現在では、開発リードタイム全体を60%まで削減することに成功しています。徹夜の設計・検証作業はもう必要ありません。また何より、“設計〜試作〜検証〜再設計”という一連のサイクルを劇的に高速化できたことで、オリジナル・カスタマイズ製品の小ロット対応が可能となり、競合優位性の強化に大きく貢献しています。

解決ソリューション

Case.2 精密設計の代償に、設計・試作・検証プロセスの手戻りはやむなし・・・?「設計と試作・検証の同時並行」で、膨大なダウンタイムを短縮できた方法とは? プラスチック製造業J社(設計開発部) 従業員数:100名

課題

プラスチックやその他樹脂素材を用いた、さまざまな成型品を開発・製造しているJ社では、民生品の小型化に伴う市場ニーズに応えるべく、研究開発に日夜取り組んでいます。同社では以前から、「ダウンタイムの多さ」による非効率な設計・開発工程に課題を抱えていました。同社の製品は精密な微細加工が市場で高い評価を得ていましたが、その裏では、幾度となく“設計〜試作造形〜検証〜再設計”というプロセスを繰り返していたのです。とはいえ、小型化すればするほど内部構造は微細化・複雑化し、その設計は困難を極めます。
「最新の設計ツールと熟練のエンジニアをもってしても、非常に精密な設計を1回でクリアするのは到底無理です。やはり試作で検証すると、色々と設計ミスや仕様変更があるもので、精度向上のためには手戻りは避けられません」と語るのは上級エンジニアのY氏。

問題は、“設計〜試作造形〜検証〜再設計”というプロセスを、順を追って何度も反復せねばならず、各プロセスで多くのダウンタイムが発生することです。また、試作造形に要する約10日もの間、開発工程は中断せざるを得ず、大変非効率です・・・。

解決

「問題解決のためには、試作造形を内製化するしかない─」Y氏は情報収集を続ける中で、OA機器の購入先であったマイクロシステムの担当者を総務部より紹介されます。理由を聞くと、「ちょうど数日前に画期的な『高速試作造形機』の取扱いを開始した、という連絡がきた」とのこと。さっそく担当者を呼んで商談に望んだY氏は、その新たな可能性を直感的に理解します。
「髪の毛より1/6も薄いミクロン単位の積層による、超精密な試作造形技術には驚きました。これならどんなに微細な設計でも忠実に再現し、本物に近い感覚で検証することができます。また、何よりメリットが大きいのは試作造形が1日足らずで社内で完成することです。これは、試作造形待ちのダウンタイム短縮だけでなく、すぐに検証結果を設計にフィードバックできるので、開発プロセス全体の高速化につながると考えました」

その後Y氏は、「高速試作造形機」を本格導入。これまでは“設計してから試作・検証”していたプロセスを、“設計しながら同時並行で試作・検証”できるようになったことで設計精度が向上。設計ミスの低減により、“設計〜試作造形〜検証〜再設計”というプロセスの反復回数そのものを減らすことに成功しました。

「まさに生産性の高い“コンカレントエンジニアリング”を実現させることができました。また、軟質・硬質の樹脂を組み合わせて同時に造形できるので、感触や使い勝手の確認によるユーザビリティ検証までレベルアップさせることができました。今では、企画・デザイン段階のアイデアや設計ドラフトをその場ですぐに形にし、『つくってから考える』という、効率的かつ設計品質の高い開発現場に生まれ変わりました」(Y氏)

解決ソリューション

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